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高松高等裁判所 昭和24年(控)757号 判決

被告人

藤堂多賀美

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

檢察官といふ用語は檢察廳法第三條第四條に規定する通り檢事総長、次長檢事、檢事長、檢事及び副檢事等刑事について公訴を行ひ裁判所、司法の正当な適用を請求し且つ裁判の執行を監督する等所謂檢察事務を行う官吏の総称であるから之を官名と認めることが出來る。從つて公判調書に檢察官の官氏名を記載するには「檢察官何某と記載すれば足るものと解すべく(昭和二三年一二月二四日最高裁判所判決、判例集一二巻第十四号一九〇八頁及同月二一日同裁判所判決は判例集第二巻第十四号一八四三頁参照)苟も公判調書に檢察官として其の氏名を記載してある以上反証なき限り資格ある檢察官が列席して公判審理が爲されたものと認むるを相当とすべく又裁判所書記は所論公判当時の裁判所法第六十條の規定に依り裁判所事務官中より補せられたものであるから裁判所書記と記載してある以上裁判所事務官であることは自ら明であるから公判調書に裁判所書記の官氏名を記載するには單に「裁判所書記何某」と記載すれば足るものと解するを相当とす。從つて所論公判廷は資格ある裁判官と裁判所書記が列席し且資格ある檢察官が出席して開廷せられたものと認め得るから論旨は理由がない。

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